今年(2023年)5月、SL人吉の撮影に行ったついでに、大牟田市動物園に展示保存されている、国鉄8620形蒸気機関車48696号機を見に行った。その件は以前の記事に少し書いていた。
ただ、動画はまとめていなかったのと、あまりの傷み具合が印象に強く残ったので、改めて動画を作成した。
SL人吉の撮影に駅にいくと、多くの人が待ち構えていて、手を振ったり、カメラやスマホで撮影したりしている。牽引機の58654号機は停車駅ごとに記念撮影の人に囲まれ、いつも周囲はにぎわっている。
一方、動物園の片隅にひっそりと置かれた48696号機は、入り口近くにありながら、足を止めて立ち寄る人は少ない。訪問した日は日曜日で、しかも子供は入園無料の日で多くの家族連れが来ていたが、48696号機周辺は誰もいなかった。
この48696号機は、SLあそBOYの運行時から58654号機に部品を供給してきた、いわゆる「部品取り機」として使われてきた。つまりSLあそBOYやSL人吉を陰で支えてきた功労者である。
しかし現状の48696号機の保存状態は、その功労者に報いるものとは言えないほど悪い。部品取り機なので部品が欠落しているのは仕方ないが、塗装は剥げて苔に覆われつつあり、腐食で穴が開いている所もある。割れたところには雑草が生えてきている。特に炭水車の痛みがひどい。
また周囲の草木も伸び放題で、キャブに枝が侵入しつつある。キャブの外側の割れ目からも雑草が侵入してきている。
ここ数年のコロナ禍で十分な掃除が出来なかったのかもしれない。少し調べてみると大牟田市も問題を認識しているようだ。ただ、修理・整備するにも、解体撤去するにも費用がかかるため、財政が厳しい大牟田市の手に余る状況になっているのかもしれない。
そうなると、このまま朽ちていくに任せる状況となる。塗装の傷みは「塗り直し」が出来るが、腐食で穴が開いてしまうと修復は難しいのではないか。もう既に塗り直し程度で修復できる段階を過ぎてしまっているように思う。穴の開いたところを塞ぐような修理は費用も高額になるので、現実的に無理なのではないか。
48696号機の横に説明版が設置されているが、それによると寄贈されたのは昭和47年(1972年)3月。つまり51年前。その時の写真も載っているが、当時はずいぶん立派に飾られていたようだ。前面ナンバープレートもある。いつなくなったのだろうか。
多度津駅前の「58685号機」も塗装が傷んできている印象だったが、さすがに穴までは開いていなかった。
ただ、もし今後48696号機が解体撤去されるなら、その時は58654号機を支えた功労者として、何らかの部品(ナンバープレートや動輪など)を58654号機の保存展示場所に一緒に置いてほしいと思う。
コメント